チャプター:93春のおでかけ

ジェームズは、アンディとノアのことがふと頭に浮かぶたび、どうしてもエマの姿を重ねてしまうのだった。

ここ最近、彼女の容体はまるで良くなっていない。むしろ悪化しているようで、身体は以前にも増してこわばっていく。ジェームズは小さくため息をつき、指を髪に差し入れた。途方に暮れるような感覚が胸に広がり、そこへ自己嫌悪がじわりと滲む。エマがデイジーを好まないことは分かっていた。なら、なぜ自分はデイジーがマーティン家の別荘へ来るのを止めなかったのか。

デイジーは不正などしていないと否定したが、ジェームズは到底信じていなかった。日が過ぎてもエマは何事にも無関心で、自分の世界の奥深くに沈んだままだ。シャー...

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